年賀状
書くのは大変だけど、
もらうとうれしいのは、年賀状だ。
もう何年も、年賀状だけのやりとりの知り合いが
何人もいる。
文面や筆跡で、ひとりひとりの顔が浮かび、しばし懐かしく思う。
そんなひとりから電話をもらった。
何十年も会っていない先輩だ。
「絵は相変わらず描いてるの?」
「はい、相変わらずです。今年は展覧会をするつもりなので、
案内状を送ります。」
「もらっても、見えないから。」
「?????・・・・・」
もう何年も前から、視力を失ったことを、このとき初めて知った。
聡明な彼女は、
その後、明るく近況を教えてくれた。
朗読ブランティアに、好きな本を読んでもらっている事。
古い友人が亡くなって、お別れを言うため
遠くロサンジェルスまで行ったこと・・・
見えない世界では、絵画は、まったく無力だ。
それでも、
心を込めて描いて行こうと思う。